がんの明確な原因は不明ですが、可能性になる要因は「ストレス」「喫煙」「遺伝」などが挙げられています。その他には「食事」「栄養」その関係も指摘されており、何気なくとっている食事内容が将来のがんのリスクを増減させる可能性があるんですね。
健康なときに、予防行為をしにくいのが人間。健康な今だからこそ冷静な目でがんのことを知り、予防のために毎日の食事でできることを実践したいところ。
この記事では、
・がんの原因になる可能性がある要因
・がんと食塩の関係
・動物性たんぱく質と脂質の問題
などを解説します。
今回の記事の内容
がんの原因になる可能性がある要因

がんの種類や考えられる原因は、以下の通り。
がんの種類
がんはさまざまな種類があり、簡単に分類すると以下の通り。
| 固形がん | 癌種 | 肺がん、乳がん、胃がん、大腸がん、 子宮がん、卵巣がん、頭頸部のがんなど |
| 肉腫 | 骨肉腫、軟骨肉腫、横紋筋肉腫、 平滑筋肉腫、 線維肉腫、脂肪肉腫、 血管肉腫など |
|
| 血液がん | 白血病、悪性リンパ腫、骨髄腫など | |
同じがんであっても、いろんな原因が絡み合って発生します。
考えられるがんの原因
現在考えられる主な原因は、以下の通り。
・遺伝的素因
・ウイルスや細菌
・紫外線
・放射線
・一部の食品や食品添加物
・一部の化学物質
・喫煙
著名な疫学者と言われる英国のリチャード・ドール卿という方は、
がんの原因の約30%が喫煙、40~50%は食品やそれに準ずるもの(添加物)
だと発表されています。がんの原因の半分が日頃口にする食事によるものであり、ここからもがん対策として「食事」の重要性がわかります。また「今あるガンが消えていく食事」の著者である済陽高穂先生は、日頃の食事とがんとの関係・原因を以下の4つに分類。
①塩分のとりすぎ
②クエン酸回路の障害
③過剰な活性酸素
④動物性タンパク質、脂質のとりすぎ
細かく見ればこの他にも原因はありますが、大きく分けてこの4つが主な食品からの発がんの原因だと言われています。これら4つは、具体的にどのようにがんとつながりがあるのでしょうか?
塩分のとりすぎとがんの関係性について

現在日本人の平均摂取量は、
1日10g前後
と言われています。
塩分摂取量とがんの発生率
昔秋田県を調査したところ、1日で20g以上の塩分を摂取していたそうです。秋田県の冬は寒く、漬物などを保存食としてよく食べていた。これが、塩分摂取量が増加した理由の1つ。この時期秋田では、
・胃潰瘍
・十二指腸潰瘍
・胃がん
などの発生者が多くいた。これらの原因が「塩分量の多さではないか?」ということになり、県をあげて減塩するための取り組みを実施。現在は「1日約10g前後」と半分ぐらいに塩分摂取量が減少し、それにあわせて潰瘍や胃がん者数も低下していったそうです。
また、秋田と同じ例が中国にも存在するそうです。以前中国ではがんの発生率が高かったが、「冷蔵庫の普及」で胃がんの発生数が低下したそうです。冷蔵庫が普及していない頃は、食品を長く保存するために、
・塩漬け
・漬物
などにしていました。それが原因で自然と塩分の摂取量が増え、胃がんの発生率の高さにつながったと考えられています。
冷蔵庫が普及することで食べ物が保存しやすくなり、
・漬物などの摂取量が低下
・塩分量が低下
・胃がんの発生率が低下した
となった可能性が高い。ではなぜ、塩分をとりすぎると胃がんになってしまうのでしょうか?
塩分と胃がんの関係
塩分と胃がんの関係は、以下の通り。
・塩分のとりすぎにより起こる体内の変化
・塩分過多で胃壁が荒れやすくなる
・体内にピロリ菌を保有している人は、さらに胃壁が荒れる
・ピロリ菌は荒れた胃壁の環境下で増殖しやすく、活発に活動する
・ピロリ菌は胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がんの要因になる
・体内のミネラルバランスが崩れることでも発がんする可能性がある
・塩分の摂りすぎは、ミネラルバランスも崩してしまう
・だから塩分を摂りすぎると、胃がんになりやすい
こういった理由から、がんの予防・対策としての食事は、
塩分をできる限り減らすこと
が勧められています。ここで一旦整理ですが、そもそもピロリ菌とはどのようなものでしょうか。
ピロリ菌とは?
●ピロリ菌とは?
ピロリ菌なんてかわいい名前がついていますが、正式名は“ヘリコバクター・ピロリ”。ピロリ菌の最も大きな特徴は、酸素の存在する大気中では発育しないことで、酸素にさらされると徐々に死滅します。乾燥にも弱く、グラム陰性桿菌に分類されます。
引用:大塚製薬HPより
ピロリ菌は1982年に発見され、胃潰瘍や十二指腸潰瘍(合わせて“消化性潰瘍”という)の主要な原因であると言われています。
・胃壁に棲みつく
・衛生状態のよくない環境だと増える
・熟年世代以上の50~60%以上が保有している
こんな特徴もあります。
塩分とピロリ菌が及ぼす身体への悪影響
塩分とピロリ菌がタッグを組むと、がんを促進。塩分を摂りすぎると、胃壁が荒れます。その荒れた環境はピロリ菌が活発に活動しやすく、増殖するのに好条件。ピロリ菌が増殖することでさらに胃壁が荒れ、さらにピロリ菌が増えるという悪循環に陥る。
このように、
・胃壁が荒れることでもがんは発生しやすくなる
・胃壁が荒れ、細胞内のミネラルバランスが崩れてもがんは発生しやすくなる
などが塩分の摂りすぎと、がんの関係になるんですね。
細胞内のミネラルバランスが崩れるとがんのリスクが高まる
身体の細胞の内側・外側にはいくつかのミネラル(電解質)がイオンという電気を帯びた状態で溶け込み、お互いに一定のバランスを保っています。このミネラルバランスが保たれてこそ、細胞への運搬・出し入れ・活動が正常に行われるんですね。
このミネラルの中でも、
ナトリウムとカリウムのバランスが重要
です。細胞の内外では、このナトリウムとカリウムのバランスが一定の数値で決まっています。もしこの数値が一定以上になると心臓が止まり、死に至る。細胞の内外側ではナトリウムとカリウムのバランスがとられていて、このバランスが身体にとっては重要です。
継続的な塩分の過剰は、このミネラルバランスを崩す原因となってしまう。このミネラルバランスが崩れることによって、
細胞の代謝異常などが起こって発がんの促進
となる。がん予防やがんになった方はできるだけ塩分を控え、カリウムを多く含む野菜を多く摂取しようと言われるのはこのためです。このように塩分の摂りすぎはがんになるリスクを向上させるので、塩分の摂りすぎは気をつける必要があります。
クエン酸回路の障害とがんについて

続いては「クエン酸回路」との関係ですが、クエン酸回路が円滑に回っていると「ATP」と呼ばれるエネルギー物質が作り出されます。このATPが細胞内外のナトリウムとカリウムのバランス維持に大きく関わっているんですね。
先ほどもお伝えしましたが、
・細胞外にはナトリウム
・細胞内にはカリウム
が多くの割合で存在し、それぞれのバランスをとり合っています。
細胞内外での動き
2つの違う成分が同じ場所に入ろうとすると、混ざり合うことが自然な動き。細胞内外でも同じことが言えます。
ナトリウムは細胞内へ、カリウムは細胞外へ流れようとする働きが自然と働いていますが、それを阻止するようにミネラルバランスが保たれそれぞれの場所にとどまっています。それぞれのミネラルがその場所でとどまることができるのは、さきほど登場した「ATP」というエネルギーがあるため。
ミネラルバランスが維持できるのはこのATPがあるためであり、クエン酸回路がどこかで不具合が生じれば、エネルギーの生成が滞ります。すると、
・ATPが通常よりも減る
・ミネラルバランスも崩れる
・発がんのリスクが増加してしまう
ということになります。
クエン酸回路に不具合が生じる原因
クエン酸回路に不具合が生じるのは、
偏った食生活
が1つの原因。○○が健康には大事!などと言われますが、
・炭水化物
・たんぱく質
・脂質
・ビタミン
・ミネラル
などはそれぞれに役割があり、身体にとってはすべて必要なもの。日頃の食事は、
栄養素的に見ればバランスを意識する必要がある
わけです。
過剰な活性酸素の発生とがんの関係

活性酸素はがんだけでなく、あらゆる生活習慣病の原因となると言われています。
活性酸素とは?
●活性酸素とは?
呼吸によって体内に取り込まれた酸素の一部が、通常よりも活性化された状態になることをいいます。活性酸素は、体内の代謝過程において様々な成分と反応し、過剰になると細胞傷害をもたらします。
引用:厚生労働省HPより
体内で活性酸素が増えれば、除去する酵素が働きます。弊害を最小限に食い止めるシステムが身体には備わっていますが、このシステムは年齢とともに衰えると言われています。
活性酸素を余計に発生させる要因とは?
食事からエネルギーを得るために食べたものを燃やし、その残りかすのようなものが活性酸素となるんですね。体内では必ず発生するものであり、健康のためにはこれをできるだけ最小限に抑えたいところ。
ですが、さまざまな要因によって活性酸素が余分に発生されています。その要因は、以下の通り。
・紫外線
・タバコ
・ストレス
・激しい運動
・過度の飲酒
・農薬や添加物
・酸化した食品(古い油など)の摂取
・大気汚染
食事という視点で見れば、「農薬」「添加物」「酸化した食品」など、これらは防ぐことができます。スーパーなどで売っている揚げ物は数時間も放置されており、酸化した状態。これらを食べると胸やけがしたり、気持ちが悪くなるのも酸化しているためです。
このように食事だけに限らず、さまざまな要因が余分な活性酸素を生み出し身体に負担をかけてしまう。ですので、これらのものはできるだけ控え、活性酸素も最小限に抑えたいところ。
年齢とともに活性酸素を除去する機能が衰え、体内の酵素だけでは太刀打ちできなくなります。そこで抗酸化物質と言われる、活性酸素を除去する働きをする物質を食事から摂ることが必要なんですね。
抗酸化物質とは?
抗酸化物質とは、以下のような栄養素です。
・ビタミンA(カロテン)
・ 〃 C
・ 〃 E
・ポリフェノール
これらは、新鮮な野菜や果物に多く含まれています。がん予防・改善ではこの活性酸素を最小限に抑えること、そしてそれをできるだけ早く除去できるようにすることが重要ということになります。
動物性タンパク質、脂質のとりすぎ

以前3ヶ月間で10kgの増量をし、そのときに1日2リットルの牛乳を飲んでいたことがあります。このとき、風邪をひいたり体調を崩すことが多くあったんですね。牛乳は「動物性のたんぱく質」で、動物性たんぱく質を多く摂りすぎると、
・免疫が低下しやすくなる
・風邪をひきやすくなる
・がんの発生原因や進行を早めてしまう可能性がある
と言われています。
動物性タンパク質の摂りすぎとがんの関係
動物性タンパク質を摂りすぎると、がんのリスクが高まることがわかってきているんですね。たんぱく質は肝臓で処理されますが、
多量のたんぱく質が肝臓に入ると酵素活性が高まる
そうです。“酵素活性”という言葉は良いように聞こえますが、実際には身体にとってはマイナスになってしまう可能性があります。酵素活性が高まると、
・たんぱく質を分解してアミノ酸になる
・再合成されてたんぱく質になる
・たんぱく質の分解と合成を繰り返し、頻度が多くなる
・たんぱく質合成時に、ミスマッチが起こる
・なってはいけないペアになってしまう
・分解、合成の繰り返しによって肝臓の働きが低下
・解毒作用が低下する
・この結果、がんの発生率が高まってしまう
ということが起こるそうです。
動物性脂質とがんとの関係
続いては脂肪とがんの関係ですが、多くの脂肪を摂りすぎるとコレステロール値が高くなります。コレステロールは、肝臓で作られて全身の組織へ送られますが、血流という海の中を移動するには船が必要になります。この運搬船のような働きをしているのが、LDLというもの。
この船であるLDLに、コレステロールが乗ることでLDLコレステロールとなります。この数値が高いと、
・動脈硬化
・心筋梗塞
・脳梗塞
などが起こりやすくなってしまう。
マクロファージとの関係
LDLコレステロールが血液内に多く含まれると、活性酸素の影響で酸化します。LDLコレステロールが酸化すると、体内ではこれを異物と捉え、免疫細胞である「マクロファージ」という細胞が集まってきます。そして、この酸化したLDLコレステロールを食べてくれます。
食べてくれることで身体が健康になればいいですが、酸化したコレステロールを食べたマクロファージは血管内で死んでしまいます。その死んでしまったマクロファージが血管壁に沈着し、血管内が詰まってしまい心筋梗塞などの原因となる危険性があります。
このように、LDLコレステロールが増えるとマクロファージが常に働くようになってしまいますが、脂肪にばかり働きかけてしまうと、本来免疫細胞として存在するマクロファージの役割であるがん細胞を殺したりすることがしづらくなります。
その結果、がんの発生する率が高まってしまう。このように、
動物性食品の摂りすぎは、がんのリスクを高めてしまう可能性がある
ので、摂りすぎには注意が必要になります。
今あるガンが消えていく食事|知っておきたいがんの原因と食事の関係のまとめ

今回は、がんの原因と食事の関係について解説しました。食事で気をつけてほしいことをまとめると、
・塩分をできるだけ控える
・新鮮な野菜や果物を多く摂る
・クエン酸回路が正常に回るために、玄米など精製されていないものを食べる
・動物性食品はできるだけ控える
このようなことを守って食事を工夫することが重要です。がんについてはまだまだ学んでいく必要がありますが、今回の内容が少しでも参考になればうれしく思います。今回は以上です。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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