レッグレイズをすると、腹筋よりも前ももばかりがきつい。回数を重ねるほど、太ももの付け根が痛くなって脚を下ろしてしまう。このような悩みは、レッグレイズのやり方を少し変えると改善できる可能性があります。
先に結論をお伝えすると、レッグレイズで前ももに効くこと自体は不自然ではありません。脚を持ち上げるときには、
・腸腰筋
・大腿直筋
・大腿筋膜張筋
など、股関節を曲げる筋肉も働くからです。大腿直筋は前ももにあるため、脚を伸ばしたまま上下させれば前ももが疲れるのは自然な反応です。
ただし、腹筋を鍛える目的なのに前ももしか感じない場合は、脚を上げることが主な動作になり、骨盤を丸める動きが不足している可能性があります。
改善ポイントは、
・膝を軽く曲げる
・口から息を吐いて肋骨を下げる
・腰を反らさない範囲だけ脚を下ろす
・脚を上げるより、骨盤をみぞおちへ近づける
・反動を使わずゆっくり動く
この5つです。
この記事では、神戸・御影にあるパーソナルジムIZURUで15年以上にわたり姿勢改善やトレーニングを指導している、パーソナルジムIZURU代表/伊藤出が、
・レッグレイズで前ももに効く原因
・前もものきつさと中止すべき痛みの違い
・腹筋に効かせるレッグレイズのやり方
・初心者向けの段階的な練習方法
・レッグレイズで前ももが太くなるのか
などを解説します。
この記事は「レッグレイズで前ももに効く原因とフォーム修正」に特化しています。足上げ腹筋で腰が痛む方は「足上げ腹筋は危険?腰が痛くなる原因と改善方法」をご覧ください。
レッグレイズで前ももに効くのはなぜ?

レッグレイズは腹筋種目として紹介されることが多いですが、実際には腹筋だけで脚を上げているわけではありません。
脚を上げる主な動きは股関節屈曲
仰向けの状態から両脚を持ち上げる動きは、股関節屈曲と言います。股関節屈曲では、主に腸腰筋や大腿直筋などが働きます。
大腿直筋は、前ももにある大腿四頭筋の1つです。そのため、脚を上げ下げするだけのフォームになると、前ももが先に疲れやすくなります。
腹筋は骨盤と腰を安定させる
レッグレイズ中の腹筋には、脚の重さで骨盤が前へ倒れ、腰が反りすぎないように支える役割があります。
さらに、骨盤をみぞおちへ近づけるように丸めると、腹直筋をより強く使いやすくなります。
つまり、
脚を上げるだけ=股関節周辺や前ももが働きやすい
骨盤まで丸める=腹筋へ刺激を加えやすい
という違いがあります。
研究でも、脚上げ運動では腹筋だけでなく股関節屈筋群の活動が高まることが報告されています。前ももに効くことを完全にゼロにするというより、腹筋が適切に働くフォームへ修正することが大切です。
レッグレイズで前ももに効く・痛くなる6つの原因

レッグレイズで前ももに効きすぎる原因は、主に以下の6つです。
1.脚を上げる意識が強すぎる
2.膝を伸ばし切っている
3.脚を床近くまで下げすぎる
4.腰が反って骨盤が前傾している
5.反動や勢いを使っている
6.回数や負荷が体力に合っていない
原因1.脚を上げる意識が強すぎる
「脚を高く上げよう」と意識すると、股関節を曲げる筋肉が主に働きます。腹筋は骨盤を安定させるだけになり、前ももや付け根の疲労感が強くなります。
腹筋へ効かせたい場合は、脚の高さよりも骨盤の動きを意識しましょう。
原因2.膝を伸ばし切っている
膝を伸ばした脚は、曲げた脚より長い状態になります。脚が長くなるほど腰や骨盤から遠い位置に重さがかかり、腹筋や股関節周辺への負荷が大きくなります。
さらに、大腿直筋は膝を伸ばすときにも働くため、膝を強く伸ばし続けると前ももが力みやすくなります。
原因3.脚を床近くまで下げすぎる
「床ギリギリまで脚を下ろすと効果的」と言われることがありますが、すべての方に適した方法ではありません。
脚を下げるほど腰を反らす力が強くなります。腹筋で骨盤を保てない位置まで下げると、腰が浮き、腸腰筋や前ももへ負担が集中します。
原因4.腰が反って骨盤が前傾している
反り腰の状態でレッグレイズをすると、腸腰筋や大腿直筋が短く緊張しやすくなります。そのまま脚を上下させると、太ももの付け根や前ももにきつさが出ます。
腰と床の間が大きく空く方は、脚を動かす前に口から息を吐き、肋骨と骨盤の位置を整えましょう。
原因5.反動や勢いを使っている
脚を勢いよく振り上げると、股関節周辺の筋肉が急激に働きます。下ろすときに脚を落とすような動作をすると、腰にも強い負担がかかります。
前ももがパンパンになる方は、回数よりも動作速度を落とすことが先です。
原因6.回数や負荷が体力に合っていない
正しいフォームでも、限界を超えて繰り返すと腹筋が疲れ、腰を反らしながら脚を上げるフォームへ変わります。
腹筋の力が抜けた後も回数を続けることで、前ももや腸腰筋が代わりに働きます。
前もものきつさと中止すべき痛みの見分け方

レッグレイズ中の前ももの感覚は、筋肉の疲労と痛みに分けて考えましょう。
筋肉が疲れている可能性が高い感覚
・前もも全体が熱くなる
・左右で似たようなだるさが出る
・休憩すると軽くなる
・運動後に徐々に治まる
・翌日から広い範囲が筋肉痛になる
この場合でも、腹筋を狙っているのに前ももだけが限界になるならフォーム修正が必要です。
運動を中止した方がいい痛み
・前ももの一点が鋭く痛む
・太ももの付け根に引っかかりを感じる
・片脚だけ強く痛む
・腰や鼠径部に痛みが走る
・しびれや力の入りにくさがある
・運動をやめても痛みが増す
こうした場合は「効いている証拠」と考えて続けないでください。強い痛み、腫れ、内出血、しびれなどがある場合は、必要に応じて整形外科などの医療機関へ相談しましょう。
前ももに効かせず腹筋へ効かせるレッグレイズのやり方

ここから、前ももの負担を抑えながら腹筋へ刺激を加える方法を解説します。
手順1.仰向けになって膝を曲げる
仰向けになり、両膝を90度程度に曲げます。最初から脚をまっすぐ伸ばす必要はありません。
手順2.口から息を吐いて肋骨を下げる
「ふー」と口から細く息を吐き、お腹を軽く薄くします。みぞおちを床へ近づけるイメージです。
腰を強く床へ押しつけるのではなく、反りすぎない自然な位置に整えます。
手順3.膝を胸へ近づけながら骨盤を丸める
脚だけを動かさず、膝を胸へ近づける動きに合わせてお尻を軽く床から浮かせます。
骨盤をみぞおちへ近づけるように丸めると、腹筋が縮む感覚をつかみやすくなります。
手順4.腰が反らない位置まで脚を戻す
脚を下ろすときは、腰が床から浮く直前で止めます。床ギリギリまで下げる必要はありません。
手順5.反動を使わず繰り返す
2秒かけて膝を引き寄せ、2〜3秒かけて戻します。まずは5〜10回を1〜2セット行いましょう。
腹筋へ効かせるポイント
・膝は軽く曲げる
・口から息を吐く
・みぞおちと骨盤を近づける
・お尻を軽く床から浮かせる
・腰が反る前に脚を止める
・反動を使わずゆっくり動く
腹筋に刺激を感じにくい方は「腹筋が筋肉痛にならない原因と改善方法」も参考にご覧ください。
初心者が腹筋の感覚をつかむ3段階の練習方法

通常のレッグレイズで前ももしか感じない方は、難易度を下げた方法から練習しましょう。
段階1.骨盤を丸める練習
1.仰向けになって両膝を立てる
2.口から息を吐く
3.恥骨をみぞおちへ近づけるように骨盤を丸める
4.腰の反りが少し小さくなったら力を抜く
5.これを10回繰り返す
脚を上げず、腹筋を使って骨盤を動かす感覚を覚えます。
段階2.片脚ずつ持ち上げる
1.両膝を立てて仰向けになる
2.口から息を吐いて骨盤を安定させる
3.片膝を90度に保ったまま持ち上げる
4.ゆっくり足を床へ戻す
5.左右各5〜10回行う
片脚であれば負荷が軽く、腰や前ももの力みを抑えやすくなります。
段階3.両膝を曲げたレッグレイズ
1.両膝を90度に曲げて持ち上げる
2.膝を胸へ近づけながら骨盤を丸める
3.お尻を軽く床から浮かせる
4.腰が反らない位置まで脚を戻す
5.5〜10回繰り返す
この方法で腹筋へ刺激が入るようになってから、膝を少しずつ伸ばします。
骨盤を丸める練習
↓
片脚ずつのレッグレイズ
↓
両膝を曲げたレッグレイズ
↓
膝を少し伸ばしたレッグレイズ
↓
両脚を伸ばしたレッグレイズ
レッグレイズで前ももが太くなることはある?

レッグレイズを数回行っただけで、前ももがすぐ筋肉太りする可能性は低いです。
運動直後に前ももが太く見える場合は、
・筋肉への血流が増えている
・前ももが緊張して張っている
・運動後の一時的な水分変化
・筋肉痛に伴う腫れ
などが考えられます。
ただし、前ももが限界になるフォームで高負荷・高頻度のレッグレイズを長期間続ければ、大腿直筋へ継続的な刺激が加わります。筋肉量が増える可能性を完全に否定することはできません。
脚を細く見せたい方は、回数を増やすよりフォームを直し、トレーニング後に前ももを軽くゆるめましょう。
慢性的な張りが気になる場合は「前ももの張りがひどい原因と改善方法」で、前ももをゆるめる方法を紹介しています。
レッグレイズと前ももに関するよくある質問

Q1.レッグレイズで前ももに効くのは間違いですか?
間違いではありません。脚を上げるときには腸腰筋や大腿直筋も働きます。ただし、腹筋を鍛えたいのに前ももしか感じない場合はフォームを修正しましょう。
Q2.前ももに効かせないためには膝を曲げてもいいですか?
問題ありません。膝を曲げると脚の重さによる負荷を小さくでき、腰の反りや前ももの力みを抑えやすくなります。
Q3.下腹部だけを鍛えられますか?
腹直筋は上側と下側が完全に別の筋肉ではないため、下側だけを完全に分離して鍛えることは困難です。ただ、骨盤を丸める動きを意識すると、下腹部周辺に刺激を感じやすくなります。
Q4.脚はどこまで下ろせばいいですか?
腰が反らず、腹筋の力を保てる位置までです。床から何cmという一律の基準はありません。腰が浮く直前で止めてください。
Q5.レッグレイズは何回行えばいいですか?
まずは5〜10回を1〜2セット行います。前ももではなく腹筋へ刺激を感じ、フォームを保てる場合に回数やセット数を増やしましょう。
Q6.レッグレイズで腰が痛い場合は続けてもいいですか?
腰に鋭い痛みが出る場合は中止してください。膝を曲げ、可動域を浅くしても痛む場合は、レッグレイズ以外の腹筋種目へ変更します。
Q7.太ももの付け根が詰まる感じがします
脚を高く上げすぎている、股関節屈筋群が過度に緊張している可能性があります。無理に続けず、片脚ずつの方法や骨盤を丸める練習へ戻しましょう。
Q8.毎日行っても大丈夫ですか?
軽い負荷で痛みや強い筋肉痛が残らなければ行える場合もあります。ただ、前ももや腰に疲労が残っている日は休み、フォームを優先してください。
まとめ|脚を上げるより骨盤を丸めると腹筋へ効きやすい

レッグレイズは、腹筋だけを使う種目ではありません。脚を持ち上げる動作では、腸腰筋や大腿直筋などの股関節屈筋群も働きます。
そのため前ももに多少効くのは自然ですが、腹筋より前ももが先に限界になる場合は、以下の順番でフォームを修正してください。
1.膝を軽く曲げる
2.口から息を吐いて肋骨を下げる
3.脚を上げるより骨盤を丸める
4.お尻を軽く床から浮かせる
5.腰が反る前に脚を止める
6.反動を使わずゆっくり動く
7.5〜10回から始める
レッグレイズの目的は、脚を高く上げたり床ギリギリまで下げたりすることではありません。腹筋で骨盤と腰をコントロールしながら、痛みなく動くことが重要です。
レッグレイズ・腹筋に関する関連記事
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・前ももの張りがひどい原因と改善方法
参考文献
Kim K, et al. Comparison of muscular activities in the abdomen and lower limbs while performing sit-up and leg-raise exercises. J Phys Ther Sci. 2016. 本文
Hu H, et al. Is the psoas a hip flexor in the active straight leg raise? Eur Spine J. 2011. 本文
Lee SY, et al. Muscle activities of the rectus abdominis and rectus femoris during leg raising. J Phys Ther Sci. 2015. 本文
この記事は、神戸・御影のパーソナルジムIZURUで15年以上にわたり姿勢改善・脚やせ・トレーニングを指導している、パーソナルジムIZURU代表/伊藤出が、実際の指導経験と研究資料をもとに執筆しています。




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