IZURU代表 / 伊藤 出

IZURU代表 / 伊藤 出

パーソナルトレーナー歴13年。心理カウンセラー・アスリートフードマイスター。カラダとココロの悩みを“根本改善”する。3ヶ月-11.3cm脚やせ、9ヶ月-17kgのダイエット成功などの指導実績。日本ボクシングミニマム級1位・プロ野球選手・モデルなどの指導経歴。



肩・肘が痛くならない投げ方。このポイントは「スムーズな動作の習得」「最低限の柔軟性の獲得」「投球動作時に過度に意識を向けない」など。これらができると、肩・肘を痛めず投げられます。

この記事では、

・投げ方で肩・肘を痛める原因
・肩・肘が痛くならない投げ方を習得する4ステップ

などを解説します。

 

投げ方で肩・肘を痛める原因

ボールを投げて肩肘が痛くなる原因は、

・投げ方
・オーバーユーズ
・コンディショニング

などが考えられます。ただ、ほとんどのケースは「投げ方」のまずさが原因の可能性が高い。具体的に解説します。

ボールを前で離そうとする

まず1つ目が、

ボールを前で離そうと意識している

ということ。

自然な投球動作だと、0ポジション(外方、前方45度の位置)でボールがリリースされます。

0ポジションでボールをリリース

0ポジションでボールをリリース

ただリリースポイントが少し手前になっていると、監督やコーチから「もっとボールを前で離せ!」と指導を受けることがあります。

0ポジションでボールをリリースできると、

・腕が内側に捻られつつ、肘が曲がる
・腕が身体に巻きついて減速される

という動作になるのが自然。

ボールをリリース

肘が曲がりつつ、腕が内側に捻られる

腕が身体に巻きついて減速される

この動作だと、過度に肩肘は伸ばされません。ただボールを前で離そうとすると、リリースした後に腕が巻き込まれず、前方に伸ばされてしまいます。

腕が前方に引っ張られた状態

こういう刺激は肩の後方に大きなストレスがかかり、投球数が増えれば増えるほど肩の後方に痛みが出る可能性が高くなります。

さらにこういう投げ方では、ボールをリリースする瞬間に肘が一瞬グッと伸ばされます。

リリースの瞬間に若干肘が伸び切る

すると肘に強いストレスがかかり、肘で炎症が起こって痛みが発生します。

よく現場でも言われる「ボールを前で離せ」という意識は、実は肩肘を痛めやすい動作の1つなんですね。

ボールを指で切っている

2つ目は、

ボールを指で切っている

ということ。

ボールがリリースされるとき、指で押すようにボールが離れます。これができると、指でボールを切っている感覚になります。

意識的に指でボールを切ろうとすると、肘が完全伸展してしまいます。

ボールを切って肘を完全に伸ばす

すると、肘にストレスがかかって炎症が起こって痛めるんですね。

捕手方向を見続けている

3つ目は、

ボールを投げた後に、キャッチャーを見続けている

ということ。

頸反射といって、人間は投球時に見ている方向に腕が伸びやすくなります。もし投球後キャッチャーを見続けていると、その方向に腕が伸びるんですね。

リリース後キャッチャー方向を見続ける

すると、身体に腕が巻き込まれず前方方向に引っ張られます。

前方方向に腕が引っ張られる

このとき肩の後方が過度に伸ばされ、強いストレスがかかることで痛みが出ます。

腕が前に伸ばされて肩の後方が痛む

投球時にどこを見るのかということも、肩肘の痛みにつながる可能性があるんですね。

膝を曲げすぎ

4つ目は、

膝を深く曲げすぎている

ということ。

膝を深く曲げると地面と平行に身体が移動し、ボールをリリースした後に腕が身体へ巻き込みづらくなります。

腕が身体にまきつかない

これも、肩の後方が過度に引っ張られて痛めてしまいます。投手の場合は、軽く膝が曲がる程度で十分。

軽く膝が曲がったセット

ここはフォーリングで決めますが、膝を深く曲げるのはケガや打たれるリスクが高くなります。

ではこういった原因で肩・肘を痛めた場合、どのように改善すればいいのでしょうか?

 

肩・肘が痛くならない投げ方の習得方法①:肩の柔軟性を改善する

まず最初に行ってほしいのは、

肩周りの筋肉を緩めて、柔軟性を改善する

ということ。そうすると、スムーズな投球動作がしやすくなります。まずは、以下の4つを実践して肩周りを緩めましょう。

①腕を前後に動かす

1、立った状態で、肘を90度に曲げる
2、手のひらを天井に向け、腕をみぞおち前に伸ばす
3、伸ばした腕を、肘を曲げながら後方に引く
4、30回繰り返す

②腕を捻りながら肩甲骨を動かす

1、胸にしわをよせ、身体を少し丸める
2、このとき、腕を内側に捻る
3、胸を突き出し、腕を外側へ捻る
4、交互に30回繰り返す

③腕を上下に動かす

1、耳の高さで棒を持つようなイメージで腕を構える
2、肩よりも腕を下げ、上下に大きく動かす
3、50回行う

④腕を身体の前側で回す

1、脚を肩幅に開き、肩から腕をぶら下げる
2、膝を軽く屈伸させ、身体の前で腕を回す
3、同じ方向へ20回、逆回しを20回行う

これで肩周りの柔軟性が改善できたので、次はスムーズな投球動作へと改善します。

 

肩・肘が痛くならない投げ方の習得方法②:投球動作を改善する

自然な投球動作をインプットするためには、以下の4つのステップで投げ方を改善していきましょう。

①身体の前で腕を内側に回す

1、脚を肩幅に開き、肩から腕をぶら下げる
2、膝を軽く屈伸させ、身体の前で腕を内側に回す
3、スムーズに回るまで行う

②頭の後ろに拳を落とす

1、脚を肩幅に開き、肩から腕をぶら下げる
2、膝を軽く屈伸させ、身体の前で腕を内側に回す
3、3回回し、体重移動しながら頭の後ろに手を落とす
4、10回ほど繰り返す

③頭の後ろに拳を落とした状態から一本背負い

1、頭の後ろに手を落とし、その状態でリラックスする
2、体重移動しながら、一本背負いをする
3、腕はリラックスしておき、身体に腕を巻きつける
4、20回行う

④スムーズな投球動作をインプットする

1、投手のように立ち、身体の前側で投球腕を3回回す
2、体重移動し、手を頭の後ろに落とす
3、一本背負いをするように身体を縦に折る
4、腕はリラックスさせ、自然に身体に巻き付ける
5、20回行う

この流れが適切にできるとスムーズな投球動作がインプットでき、肩・肘が痛くならない投げ方の完成です。

いきなり腕を早く振ってしまうと動きが不自然になるため、

・気持ちよく感じる動作スピードで行う
・常にリラックスして行う
・時間をかけて徐々にスピードを上げる

ということができれば、今悩む肩肘の痛みを改善することが可能です。

 

肩・肘が痛くならない投げ方を習得する4つのステップのまとめ

今回は、肩・肘が痛くならない投げ方を習得する4つのステップなどを解説しました。

・肩・肘を痛める原因は、主に投げ方が問題
・ボールを前で離すなどの意識を持てば、肩や肘を痛める可能性
・肩・肘を痛めない投げ方のポイントは、腕がスムーズに動くこと
・そのためには、4ステップをリラックスしてこなすこと
・身体に腕が巻き付くようなフォロースルーができると、肩や肘への負担は軽減する

1番大切なことは、自然な動きの習得です。これができると肩肘は痛みませんし、球速が上がる選手もいるはず。これぐらい基本的なことであり、パフォーマンス向上に必須。

今回の内容が少しでも野球選手の参考になれば嬉しく思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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