かかとの上げ下げは、立ったまま、または椅子に座ったままできる手軽な運動です。「ふくらはぎを鍛えたい」「座りっぱなしの脚を動かしたい」「高齢になっても歩ける脚を保ちたい」という方に役立ちます。
ただし、かかとの上げ下げだけで大幅に痩せたり、血圧が必ず下がったりするわけではありません。回数やフォームを間違えると、ふくらはぎがパンパンに張り、以前より太く見えることもあります。
この記事でわかること
・かかと上げ下げ運動で期待できる効果
・ダイエットや血圧との関係
・高齢者でも安全に行う方法
・目的別の回数と頻度
・ふくらはぎが太くなる原因と対策
・運動を控えて医療機関へ相談すべき症状
神戸・御影にあるパーソナルジムIZURU代表 / 伊藤出が解説します。
かかと上げ下げ運動とは?使う筋肉と似た運動との違い

かかと上げ下げ運動は、足裏を床につけた姿勢から、かかとをゆっくり上げてつま先立ちになり、再び床へ下ろす動作です。筋トレでは「カーフレイズ」と呼ばれます。
主に使うのは、ふくらはぎの表面にある腓腹筋と、その奥にあるヒラメ筋です。足首を伸ばす筋肉であり、立つ、歩く、階段を上るといった日常動作にも関わります。
つま先立ち・つま先歩きとの違い
つま先立ちは、かかとを上げた状態を保つ動作です。つま先歩きは、その状態のまま歩きます。一方、かかと上げ下げは「上げる・下ろす」を反復するため、ふくらはぎが収縮と弛緩を繰り返します。
長時間つま先立ちを続けると筋肉が緊張し続けますが、かかと上げ下げは回数と負荷を調整しやすい運動です。違いを詳しく知りたい方は、つま先立ち・つま先歩きのメリット・デメリットもご覧ください。
かかと落としとの違い
かかと落としは、上げたかかとを床へ落とし、着地の刺激を加える運動として紹介されることがあります。かかと上げ下げは、基本的に音を立てずゆっくり下ろします。膝・腰・足裏への衝撃を避けたい方は、かかとを床へ叩きつけないようにしましょう。
かかと上げ下げで期待できる8つの効果

1.ふくらはぎの筋力を維持・向上できる
自分の体重を利用して腓腹筋やヒラメ筋へ刺激を加えられます。両脚で行う、椅子に座って行う、片脚で行うなど、体力に合わせて負荷を変えられる点もメリットです。
2.足首を動かす力を保ちやすい
歩行中に地面を押す、階段を上る、背伸びをするといった動作には足首を伸ばす力が必要です。かかと上げ下げを無理のない範囲で続けると、日常で使う足首周辺の機能維持につながります。
3.歩行や立ち上がりを支える
ふくらはぎだけで歩くわけではありませんが、下腿の筋力は安定した歩行を支える要素のひとつです。お尻や太ももの運動、実際に歩く習慣と組み合わせると、より実用的です。
4.バランス能力の維持に役立つ
立位で行うと、足裏で体重を支えながら重心を上下させます。壁や椅子へ手を添え、安全を確保して行えば、姿勢を保つ練習にもなります。
5.座りっぱなしの脚を動かせる
デスクワーク中は足首や膝を動かす機会が減ります。椅子に座ったままかかとを軽く動かせば、仕事の合間にも運動量を増やせます。1時間に1回、10~20回を目安に行うと続けやすいでしょう。
6.ふくらはぎの筋ポンプを働かせる
ふくらはぎが収縮と弛緩を繰り返すと、脚の静脈血が心臓へ戻る働きを補助します。これが一般に「筋ポンプ」と呼ばれる作用です。長時間同じ姿勢で過ごした後の重だるさ対策として、軽く動かすことは有効です。
7.冷えやむくみ感の軽減につながることがある
動かずにいたことで脚が重い場合は、足首を動かした後に軽さを感じることがあります。ただし、むくみの原因は運動不足だけではありません。片脚だけ急に腫れた場合は、運動で対処しないでください。
8.運動習慣のきっかけになる
道具や広い場所が不要で、歯磨き中や家事の合間にも行えます。まとまった運動時間を確保できない方が、身体を動かすきっかけとして取り入れやすい方法です。
かかと上げ下げで痩せる?ダイエット効果の考え方
結論から言うと、かかと上げ下げだけで体重や体脂肪を大きく減らすのは難しいです。小さな筋肉運動であり、ウォーキングや全身運動と比べると消費エネルギーは限定的です。
また、ふくらはぎを動かしたからといって、その部分の脂肪だけが優先的に減るわけではありません。脂肪によって脚が太い場合は、食事を整え、全身の活動量を増やし、一定期間エネルギー収支をマイナスにする必要があります。
ダイエットの補助としては役立つ
消費量は小さくても、座っている時間を減らし、日常の活動を積み重ねる意味はあります。かかと上げ下げを「これだけで痩せる運動」ではなく、歩行や食事改善を続けるための補助として使いましょう。
ダイエット目的の組み合わせ例
・かかと上げ下げ:10~20回を1~2セット
・ウォーキング:体力に合わせて20~30分
・下半身の筋トレ:週2~3回
・食事:極端に抜かず、摂取量と内容を調整
・睡眠:疲労を残さない時間を確保
脚全体を細くしたい方は、原因別に整理した脚やせする方法も参考にしてください。
かかと上げ下げは血圧に効果がある?
かかと上げ下げは筋肉を動かす運動なので、継続的な身体活動の一部にはなります。ただし、「この運動をすれば血圧が必ず下がる」「薬が不要になる」とは言えません。血圧は体質、体重、食塩摂取、飲酒、睡眠、ストレス、病気、服薬など多くの要因で変わります。
運動習慣は高血圧の予防・改善に重要ですが、一般には有酸素運動や全身の筋力トレーニングを含めて考えます。かかと上げ下げだけに頼らず、医師から運動制限を受けていない方は、歩行などと組み合わせましょう。
血圧が高い方が行うときの注意点
息を止めて強く力むと、運動中の血圧が上がりやすくなります。「上げながら息を吐き、下ろしながら吸う」程度でよいので、自然な呼吸を続けてください。
・治療中の方は、開始前に主治医へ相談する
・息を止めて力まない
・最初から片脚や高回数で追い込まない
・頭痛、胸痛、息苦しさ、強い動悸、めまいが出たら中止する
・自己判断で薬を中断しない
家庭で血圧を測っている方は、運動前後の数値や体調を記録すると、主治医へ相談するときにも役立ちます。
高齢者がかかと上げ下げを行う効果と安全な方法

高齢者にとっては、ふくらはぎの筋力、足首を動かす力、立位バランスを保つ運動になります。運動不足の方ほど、難しい片脚立ちから始めず、椅子に座る方法や両手で支える方法が安全です。
最初は椅子に座って行う
1.安定した椅子へ深く座る
2.両足を腰幅に開き、足裏を床につける
3.つま先を床につけたまま両かかとを上げる
4.1~2秒かけてゆっくり下ろす
5.10回を目安に繰り返す
余裕があれば、膝の上へ手を軽く置くと負荷を調整できます。膝や足首に痛みが出る場合は押さえつけません。
立って行う場合は両手で支える
キャスターのない椅子の背もたれ、固定された手すり、壁などへ両手を添えます。滑りやすい靴下や不安定な台は避け、かかとを上げる高さより転倒しないことを優先してください。
歩行が不安定な方、最近転倒した方、骨折後、手術後、心臓や血管の病気がある方は、自己判断で開始せず、医師や理学療法士へ相談してください。
かかと上げ下げ運動の正しいやり方3選
方法1.立った状態で行う基本のかかと上げ下げ
1.足を腰幅に開き、つま先を正面へ向ける
2.壁や椅子へ指先を添える
3.足の親指側と小指側の両方で床を押す
4.息を吐きながら、かかとをゆっくり上げる
5.反動を使わず、かかとを静かに下ろす
6.10~20回繰り返す
上半身を前後へ振らず、頭が真上に動くイメージで行います。高く上げることより、足首が内側・外側へ倒れないことが重要です。
方法2.椅子に座って行う
1.椅子に座り、膝を約90度に曲げる
2.つま先と膝を同じ方向へ向ける
3.つま先を床につけたまま、かかとを上げる
4.床へ静かに下ろす
5.20~30回、心地よいテンポで繰り返す
立位より負荷が軽く、仕事の合間や運動初心者にも向きます。むくみ感の対策が目的なら、強く踏ん張らずリズミカルに動かしましょう。
方法3.段差を使う方法は上級者向け
段差につま先側を乗せると、かかとを深く下ろせるため負荷が増えます。アキレス腱や足裏に負担もかかりやすく、初心者や高齢者には必要ありません。行う場合は手すりを持ち、痛みのない可動域に限定します。
目的別の回数・頻度・行うタイミング

適切な回数は、目的と体力で変わります。100回、500回と回数を増やせば効果が比例するわけではありません。翌日に痛みや強い張りを残さず、フォームを保てる範囲から始めます。
筋力維持:10~20回×1~3セット、週2~3回
運動初心者・高齢者:5~10回×1~2セット、週2~3回
座りっぱなし対策:10~20回、1時間に1回程度
軽いむくみ感対策:座位で20~30回、心地よい範囲
筋力向上:15~20回が楽なら、回数ではなく負荷や動作速度を調整
毎日行っても大丈夫?
座位で軽く動かす程度なら、体調を見ながら毎日行えます。一方、立位で筋肉が疲れるまで行う場合は筋トレです。筋肉痛や張りが強い日は休み、週2~3回から始めましょう。
おすすめのタイミング
決まった正解はありません。朝の支度中、仕事の休憩、歯磨き中など、続けやすい時間で構いません。ただし、食後すぐ、入浴直後、飲酒後、体調が悪いときは避けてください。
かかと上げ下げでふくらはぎが太くなる5つの原因
適量のかかと上げ下げで、すぐにふくらはぎの筋肉が大きくなるわけではありません。ただし、次のような場合は運動後に太く見えたり、継続によって筋肉が発達したりする可能性があります。
1.運動直後のパンプアップ
筋肉を使った直後は血液や水分が集まり、一時的に膨らみます。数時間から翌日に落ち着くなら、筋肉が急に増えたわけではありません。
2.回数や負荷が多すぎる
毎日100回以上、片脚、重りを持つ、段差で深く動かすなどの高負荷を続けると、ふくらはぎを発達させる筋トレになります。脚を細く見せたい方は、まず10~20回へ減らして反応を確認してください。
3.つま先へ体重をかけたまま休まない
動作後もつま先重心のまま立つと、ふくらはぎが緊張し続けます。セットが終わったら足裏全体を床につけ、膝を軽く緩めて休みましょう。
4.足首が外側・内側へ倒れている
小指側だけ、または親指側だけで床を押すと、ふくらはぎの一部へ負担が偏ります。鏡でかかとの向きを確認し、足裏全体で均等に押します。
5.むくみや張りを筋肉の発達と勘違いしている
夕方だけ太い、靴下の跡が残る、触るとパンパンという場合は、むくみや筋肉の緊張が関係しているかもしれません。詳しくはふくらはぎが固い・パンパンになる原因と柔らかくする方法をご覧ください。
筋肉量そのものを減らしたい方はふくらはぎの筋肉を落とす方法、外側の張りが気になる方はふくらはぎの外側が太い原因も参考にしてください。
かかと上げ下げを中止した方がよい症状と注意点
運動中に筋肉が軽く疲れるのは自然ですが、鋭い痛みやしびれを我慢して続ける必要はありません。次に当てはまる場合は中止し、必要に応じて医療機関へ相談してください。
・足首、アキレス腱、膝に鋭い痛みが出る
・ふくらはぎがつりそうになる、強い痛みが残る
・めまい、胸痛、息苦しさ、強い動悸が出る
・片脚だけ急に腫れ、赤みや熱感がある
・けがをしていないのに歩けない
・安静にしても症状が悪化する
特に、片脚の急な腫れや痛みに息苦しさ・胸痛が伴う場合は、血栓など緊急性のある病気も否定できません。揉んだり運動したりせず、速やかに医療機関へ連絡してください。
かかと上げ下げに関するよくある質問

何回やれば痩せますか?
「何回で痩せる」という基準はありません。脂肪を減らすには、食事と全身の活動量を含めたエネルギー収支が重要です。100回へ増やすより、10~20回を正しく行い、ウォーキングや食事改善を続けましょう。
かかと上げ下げでむくみは取れますか?
長時間同じ姿勢でいた後の軽いむくみ感は、足首を動かすことで楽になる場合があります。ただし、病気や薬などが原因のむくみもあります。急な片脚の腫れ、痛み、赤みがある場合は運動せず受診してください。
膝を伸ばす・曲げるで効果は変わりますか?
膝を伸ばした立位では腓腹筋、膝を曲げた座位ではヒラメ筋を使いやすくなります。ただし完全に分離できるわけではありません。初心者は筋肉の使い分けより、安全に足首を動かせる方法を選びましょう。
朝と夜、どちらが効果的ですか?
効果を決めるのは時間帯より継続です。朝は少ない回数から始め、夜に脚が張っている日は立位で追い込まず、座って軽く動かす程度にします。
1週間でふくらはぎは細くなりますか?
むくみや過度な筋緊張が軽くなれば、短期間で見た目が変わることはあります。ただし脂肪や筋肉量は1週間で大幅には変わりません。写真や周径を同じ条件で記録し、4週間程度の変化を確認しましょう。
まとめ:かかと上げ下げは目的に合う回数で続けよう
かかと上げ下げは、ふくらはぎの筋力維持、足首の運動、座りっぱなし対策などに取り入れやすい運動です。高齢者も椅子や壁で身体を支えれば、体力に合わせて実践できます。
・基本は10~20回から始める
・かかとはゆっくり上げ、静かに下ろす
・呼吸を止めない
・大幅なダイエットは食事と全身運動を組み合わせる
・血圧治療中の方は主治医へ相談する
・高回数や高負荷でふくらはぎが張る場合は量を減らす
・片脚だけの急な腫れや胸痛がある場合は運動しない
最も大切なのは、回数を競うことではなく、目的に合った負荷で継続することです。まずは安全な姿勢で10回行い、翌日の張りや痛みを確認しながら調整しましょう。
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